数学入門: 第2章フィードバック
「ライブ講義 大学1年生のための数学入門」を使った学生・読者の反応と, それに対する著者からのフィードバックです。
質問
2×3=6 答え 6 m2 のような書き方はだめですか?
... その書き方は小学生なら仕方ありませんが, 科学的ではありません。そのm2はどこから来たかが説明されていないことがダメなのです。物理量は数値×単位なのだから, 数値の計算だけでなく単位の計算も示すべきです。「面積なんだからm2は当たり前だから計算は省いていいよね」ではなく, 「ほら, 計算したらm2が出てきたでしょ?ちゃんと面積になってて安心だね!」というのが, 論証の筋道です。小学生は単位の計算に必要な累乗を習っていないし, 数ではない量の演算という抽象的な記号操作を学ぶには幼すぎるので, 仕方ないのです。学びが進み, 精神的にも成熟した人は, より正しい操作・記法にアップデートすべきなのです。
教科書や先生から教わったことを疑うということは、自分の基礎となっている部分を疑うことであり、他のものを疑うより難しいものに感じます。どうしたら自分の基礎を批判的な思考で細かく観ることができるのでしょうか。
... わざと疑おうとする必要はありません。自分の基礎となっている知識の適用範囲と整合性(つじつま)に常に気を配るのです。何かを聞いたり見た時に, 「あれ? 自分の考えてたことと矛盾するぞ?」となったら, その理由・原因を探るのです。
学生のリアクションペーパーから
私は今まで単位をしっかり理解してこなかったので化学が苦手だった。この本の第2章で単位の原理を知り、目から鱗が落ちる思いだった。高校生の時にこのことを知っていたら!
今まで単位が違うと数値が変わるという考え方をしてきたが、単位は違っても数値×単位は同じという考え方はしたことがなかったので新鮮だった。
「ヤードポンド法は害悪」といったようなネタはインターネットで何度か見かけたことがあったが、実際に単位の粗末な扱いが深刻な経済的損失や死亡事故など取り返しのつかない事態を招く事例が少なくないというのは全然笑い事じゃないと思った。
... 多分, 害悪なのはヤードポンド法ではなく, 単位を扱うスキルや意識が社会的に低いことです。ちゃんと扱えばヤードポンド法とSIが混在しても大丈夫です。
今までメートルのmとミリのmの表記の違いを気にしたことがなかった
1 m Nと1mNの違いを意識せずに過ごしてきた。
式は左辺と右辺で単位についても統一するということ
... 「左辺にも右辺にも単位をつけよう」というポリシーは統一すべきですが, 単位自体は統一しなくてもOKです。2 m = 200 cmという式は, 左辺と右辺で単位は違うけど, 正当な式です。
物理や化学では式中の数値に単位をよくつけていたが、数学はつけていなかったし、教科によってつける/つけないがあったことに対して疑問すら抱いていなかった。
... センター試験や共通テストの過去問には, 単位がグサグサなものがありますよ(笑)。
フランス語の授業をとっているのでSIがフランス語の略だと知って嬉しくなった。
... Système International d'unitésだそうです。
高校生のとき、F[N]=m[kg]a[m/s2]のような書き方でやってた自覚はあったので驚きだった。
単位の正確な扱いを怠ったことで起きた失敗の実例を知り、驚きました。単位一つで人は取り返しのつかないミスを犯してしまうため、他人と正確な単位を共有することはとても重要なことだと考えます。
数値は単位がついてはじめて物理量になることができるうえ、単位を埋め込んで計算すれば自動的に正しい単位が出てくる。
今までいかに辻褄の合っていない、その場しのぎの式の扱いをしていたのだろう。
単位を入れて計算することで自動的に正しい単位が出てくるため、単位を間違えるということがなくなる。面倒で省略してしまいがちだが、最終的に値は出せても単位で間違えてしまうこともあったので、意識的に式中に単位を書くよう心がけたい。
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