数学入門: 第1章フィードバック

「ライブ講義 大学1年生のための数学入門」を使った学生・読者の反応と, それに対する著者からのフィードバックです。

第1章

  • 定義の拡張によって、数学が新しい段階に行くことが印象に残った。

     … 累乗が素朴な「繰り返し掛ける」という定義から「指数法則を満たすような演算」という定義に乗り換えることで, 自然数だけでなく負の数や分数にも拡張されていくところですね。新しく学ぶ数学がさっぱりわからない(泣), というのは, だいたいがこれです。定義の拡張に気づいていないのです。

  • あらかじめ正の実数の範囲内で定義されているものを負の実数とか0とかに広げていくのは、高校では普通だと思っていたが、改めてやると不思議な感じがする。(ルールを破っているような感じ?) 

    … 「そうしないと数学が始まらない」というのが大事なところです。数学が飛躍する段階のルール破りな感じは, 実際, 昔の人達も感じていたようで, たとえばピタゴラス学派は√2が無理数であることを証明してしまい, そのことをどう受け入れればよいかわからず, とりあえず外部には漏らしてはいけない, ということになっていたようです。

  • 0!の値を決めるとき、階乗の定義を拡張して0!を定義するというのがとてもおもしろかった。 

    … 「面白い」と思う心がいちばん大切です。素晴らしい。

  • 高校ではあまり詳しく学ばなかったことで当たり前だと思っていたことが意外と深いことで、一つ一つ理解すべきことだということがわかりました。 

    … 高校で学んだことの「伏線回収」がこれからたくさん出てきますよ。

  • 高校まではとにかくたくさん問題を解くことで慣れていたがそれだと「わかったふり」でとどまってしまうことに気づけた。 

    … 慣れも大事ですけどね。「慣れる」の次に「わかる」を目指すのが大事。

  • 高校の先生が何回も「定義は重要」とか、「定義の拡張」とかをよく話していた。当時はよくわかってない部分もあったが、今日の授業を通じてそれが少しわかった。 

    … 素晴らしい先生に習ったのですね。幸運でしたね。

  • これから学ぶ大学数学は高校の数学みたいにたくさん問題を解いて点数を取れるようにするのと違って、定義を大切にして1つ1つを説明できるくらい理解することが大切なのだと改めて痛感した。 

    … 「たくさん問題を解いて点数を取れるようにする勉強」は, 高校生の発達段階には適した学習法だと思います。実際, 頭が柔らかい時期は, いろんなことを理屈抜きに詰め込むことができます。同様に, 大学生には大学生の成熟レベルに合った「大人の勉強法」があります。それが定義重視・納得重視の勉強法です。

  • 累乗はもしかしたら指数が√3とか虚数でもできるかもしれないと思って考えてみましたが無茶苦茶な数字になりそうなことしか分かりませんでした。 

    … できますよ!! 無理数乗は, 「指数関数の単調性」と「実数の公理」を使って定義されます。虚数乗は「オイラーの公式」で定義されます。

  • 大学数学にあるあるのπはなんでπになるか今のところ見当がつかない。 

    … 複素関数の積分やフーリエ級数という数学を介して出てくることが多いです。

  • 効率良く数学を学ぶのによい、先生お勧めの時間帯があれば知りたいです。 

    … 朝がお薦めです。

  • どうしてこうなるのか(例えば0の階乗は1など)を考えるときに、どこまでを前提として定義すればよいかわからない。 

    … 自分の知っている数学を全部いちど分解して, 定義をもとに組み立て直すとわかるようになります。

  • 今回の授業で出された問題のほとんどが、高校の時に疑問に思って先生に質問したけれど、「そんなことは決まりなんだから今は丸暗記すれば良い」と言われていたものだったので、理由づけて理解することができてよかったです。 

    … まあ, 定義ですから, 決まりと言えば決まりです(笑)。

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